太陽光発電の仕組みをわかりやすく解説!売電や発電効率の基礎知識、将来性も

電気代の高騰が続く中、電気代を節約する手段として太陽光発電の導入に興味を持つ方が増えています。しかし、「仕組みがよくわからない」「本当に節約につながるのか」との疑問から、導入を迷うケースも多いようです。
そこで、このコラムでは、太陽光発電の基本的な仕組みや発電率について詳しく解説します。メリットやデメリット、導入時に知っておきたいポイントも紹介しますので、太陽光発電の導入を検討する際にぜひお役立てください。
「太陽光発電」とは
太陽光発電は、太陽の光エネルギーを電気に変換する発電方式です。再生可能エネルギーの一つとして注目されており、家庭や企業、公共施設など幅広く活用されています。
大きな特徴は、発電時に温室効果ガスを排出しないことです。火力発電のように化石燃料を燃やさないため環境への負担が少なく、クリーンな発電方法として評価されています。
一方で、太陽光発電には、発電量が天候や季節によって大きく変動するという特徴もあります。曇りや雨の日は発電量が低下し、夜間は発電できません。
「自家消費」「売電」「買電」とは
太陽光発電を導入する際に抑えておきたいのが、「自家消費」「売電」「買電」という3つの仕組みです。それぞれ解説します。
自家消費とは?
自家消費とは、太陽光発電で作られた電気を自宅内で直接使用することをいいます。電力会社から購入する買電電力量を減らせるため、電気代の節約につながります。
特に電気代が高騰している中では、昼間の電力を自家消費することで、大幅なコスト削減が見込めるでしょう。
売電とは?
売電とは、発電して余った電気を電力会社に売ることです。基本的に、太陽光発電で作られた電気は、まず家庭で消費され、余剰分は電力会社に売却される仕組みとなっています。
売電収入を得られるため、太陽光発電設置にかかる初期費用の回収や家計の助けになるでしょう。ただし、売電価格は年々下がる傾向にあるため、近年では余った電気を売らずに自家消費する家庭が増えています。
買電とは?
買電とは、電力会社から電気を購入することです。太陽光発電は夜間や悪天候時には発電できないため、その間の電気は電力会社から買うことになります。
発電できないときに備えて、蓄電池を導入する手段もあります。
蓄電池があれば、昼間に発電した電気をためて夜間に使用できるため、買電量を抑えることが可能です。買電電気代のさらなる節約を目指すなら、太陽光発電とあわせて蓄電池の導入も検討するとよいでしょう。
太陽光発電の仕組み

太陽光発電は、次のような流れで太陽の光エネルギーを電気に変換します。
- 太陽光パネルが太陽の光を受けて電気を発生
- 接続箱で配線をまとめ、パワーコンディショナーに電気を送る
- パワーコンディショナーが直流電流(DC)を家庭用の交流電流(AC)に変換
- 変換された電気を、分電盤から電気機器に供給
発電量は天候や時間帯に左右されるため、電力が足りない場合は電力会社から買電する必要があります。
太陽光発電に必要な機器
太陽光発電を家庭や施設で運用するには、次のような機器が必要です。
- 太陽電池モジュール
- 接続箱
- パワーコンディショナー
- 分電盤
- 蓄電池(オプション)
それぞれの役割を解説します。
太陽電池モジュール
太陽電池モジュールは、太陽光を直接電気エネルギーに変換する装置です。「ソーラーパネル」や「太陽光パネル」とも呼ばれます。
太陽電池モジュールが太陽の光を受けると、半導体の働きによって電気が発生します。この電気は直流(DC)であるため、家庭で使うには交流(AC)への変換が必要です。
接続箱
接続箱は、太陽電池モジュールからの配線を1本にまとめ、パワーコンディショナーに電気を送る装置です。電気の流れを整理し、安全に電力供給する役割を担います。
パワーコンディショナー
パワーコンディショナーは、太陽電池モジュールが作り出す直流電流(DC)を、交流電流(AC)に変換する機器です。また、発電量の調整や電力管理の役割も果たします。
太陽光発電ではソーラーパネルが注目されがちですが、家庭で電気を使うにはパワーコンディショナーが不可欠です。太陽光発電システムに欠かせない重要な機器といえます。
分電盤
分電盤は、パワーコンディショナーで変換された電気を、家庭内の電気機器に供給する装置です。
分電盤を通じて各部屋の照明やコンセントに電気が供給され、家電が使用できるようになります。
蓄電池(オプション)
蓄電池は、発電した電気をためておく装置です。太陽光発電そのものに必須ではありませんが、設置することで昼間に発電した電気を蓄え、夜間や悪天候時に使用できるようになります。
また、買電電気代を節約できるほか、停電時の非常用電源としても活用可能です。
太陽光を電気エネルギーに変える仕組み

太陽光発電は「太陽光を電気に変換する」システムですが、その際には半導体が重要な仕事を果たします。
ソーラーパネル(太陽電池)に太陽光が照射されると、n型半導体にマイナスの電気を帯びた電子が、p型半導体にはプラスの電気を帯びた正孔が集まり、プラス極とマイナス極が形成されます。
極が形成されることで、電子が導線を伝わってマイナス極からプラス極へ移動し、電気の流れが生じます。こうして電気が生まれるのです。
ただし、発生した電気は家庭内で使えない直流(DC)です。そのため、パワーコンディショナーを通じて交流(AC)に変換し、家庭で使用できるようにします。
太陽光発電でつくられる電気の量
太陽光発電の発電量は、設置するパネルの容量や日射量によって異なります。一般的な目安として、太陽光パネル1kWあたりの年間発電量は約1,000kWhとされています。
発電量はパネルの劣化や汚れによっても低下するため、定期的なメンテナンスが必要です。
※引用:太陽光発電協会「よくある質問」
太陽光発電の発電効率

「発電効率」とは、エネルギー源をどれだけ電気として利用できるかを示す割合です。太陽光発電の変換効率は一般的に約20%とされており、再生可能エネルギーのなかでは比較的低い数値です。例えば、風力発電や水力発電と比較してみましょう。
発電方法 | 発電効率の目安 |
---|---|
太陽光発電 | 約20% |
風力発電 | 約30~40% |
水力発電 | 約80% |
一見「太陽光発電は発電効率が悪いのでは?」と感じるかもしれません。しかし、風力発電や水力発電は設置に広いスペースや特定の地形が必要となるため、個人で導入するには難しい手段です。
一方、太陽光発電は住宅の屋根や敷地に設置できるため、個人でも導入しやすいという利点があります。発電効率だけでなく導入のしやすさを考慮すると、個人にとっては太陽光発電が有効な選択肢になるでしょう。
発電効率や性能に影響する主な要素
太陽光発電の発電効率は、次の要素で大きく左右されます。
- 日射量
- 太陽光パネルの向き・角度
- 温度の影響
- 太陽光パネルの汚れや影
- 太陽光パネルの品質
太陽光発電は太陽の光をエネルギー源とするため、日射量と日照時間が重要な要素となります。日射量とは、太陽から地表に届く光のエネルギーの量のことです。日照時間は、1日のうち直射日光が地表を照らした時間を決める指標となっています。
年間の日射量・日照時間が長いほどより多くの電気を生み出せるため、設置場所の気候条件も重要です。太陽光パネルの向き・角度は、日本では南向き・30度前後の角度が最適とされています。設置方向や傾きがズレると発電量が低下します。
また、太陽光発電は気温が高くなりすぎると発電効率が低下する特性があります。特に夏場は太陽光パネルの温度が上昇しやすく、晴れていても発電に問題が出る可能性があるので、太陽光発電には日差しが強くてもカラっとしている立地が向いています。
そのほか、太陽光パネルの汚れや影も発電効率に影響します。鳥のフンや落ち葉の付着に注意しましょう。また、一部分に影がかかるだけでも発電効率が低下するため、周囲の建物や木の影を考慮した設置が必要です。
さらに、太陽光パネルの品質も重要な要素です。変換効率の高い太陽光パネルを選ぶことで、同じ日射量・日照時間でもより多くの電気を発電できます。
太陽光発電の普及率

※導入量は、FIT前導入量5.6GWを含む。
※FIT/FIP認定量及び導入量は速報値。
※入札制度における落札案件は落札時点の認定量として計上。
太陽光発電は、再生可能エネルギーの中でも導入が進んでいる発電方式の一つです。近年は、電気代の高騰や環境意識の高まりを背景に、家庭用・産業用ともに普及が進んでいます。
資源エネルギー庁のデータによると、2023年12月末時点の太陽光発電の導入量は73.1GWでした。このうち、2020年3月から2023年12月までの間に追加された容量は17.3GWとなっており、3年で約4割増と急速に普及していることが伺えます。
※参考:資源エネルギー庁「今後の再生可能エネルギー政策について」
太陽光発電の将来性と今後の動き

ここでは、今後の太陽光発電の見通しについて解説します。主に次のような動きが見込まれています。
- 今後の主流は「自家消費型」へシフト
- 設置義務化が推進
それぞれの詳細を解説します。
今後の主流は「自家消費型」へシフト
これまで、太陽光発電は売電を目的として導入されるケースが多く、固定価格買取制度(FIT制度)により、発電した電気を高価格で売ることが可能でした。
しかし、買取価格は年々下落しており、2025年度の住宅用太陽光発電の売電価格は15円/kWh(10kW未満)と、導入初期の価格と比べて大幅に減少しています。
そのため、現在は売電収入よりも自家消費を重視する流れに変化しています。特に電気代の高騰が続く中、昼間の電気を太陽光発電でまかなうこと、買電を減らせる蓄電池を活用することが重要視されるようになりました。
ジャパンライフアシストでは住宅での太陽光発電や蓄電池の導入サポートを提供しています。太陽光発電・蓄電池の購入を検討している方は、お気軽にご相談ください。
※参考:資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2024年度以降)」
設置義務化が推進
東京都では、2025年4月から大手ハウスメーカー等が供給する新築住宅等に対して、太陽光発電の設置が義務化されます。
京都府や神奈川県川崎市などでも同様の動きがあり、今後も都市部の自治体で導入が進む見込みです。
義務化の背景には、地球温暖化対策として温室効果ガスの排出削減が求められていることがあります。日本は2030年度までに温室効果ガス46%削減(2013年度比)を目指しているため、火力発電を削減できる太陽光発電の導入が促進されています。
※参考:東京都「広報東京都2023年1月号」
太陽光発電のメリット・デメリット

太陽光発電にはメリットだけでなく、デメリットもあります。導入にあたっては、両方を踏まえて検討することが大切です。
太陽光発電のメリット
太陽光発電には、次のようなメリットがあります。
- 発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しない
- 買電電気代を節約できる
- 売電収入を得られる
- 発電さえできれば災害時にも電気が使える
太陽光発電は、火力発電と異なり発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しません。 環境にやさしく、地球温暖化対策に貢献できます。
また、発電した電気を自家消費することで、電力会社からの買電電気量を減らせる点も大きなメリットといえます。
売電価格は低下傾向であるものの、余剰電力を電力会社に売ることで一定の収入を得ることも可能です。
さらに、災害時には非常用電源として活用できる点も魅力です。蓄電池を併用すれば夜間や災害時でも電力を確保できるため、万が一への備えにもなります。
太陽光発電のデメリット
太陽光発電には、次のようなデメリットがあります。
- 発電量は天候に左右される
- 設置するスペースが必要になる
特に、発電量が天候に左右される点は、太陽光発電の一番のデメリットといえるでしょう。 晴天時は安定して発電できますが、曇りや雨の日は発電量が低下し、夜間は発電できません。雪の日には効率は落ちるものの、発電はおこなえます。
また、設置には十分なスペースが必要であり、屋根の形状や方角によっては設置が難しい場合があることも念頭に置いておきましょう。
まとめ

太陽光発電は、太陽の光を電気に変換し、エコに電力を供給できる発電方式です。自家消費による買電電気代の削減や売電収入が期待できるほか、停電時の非常用電源としても活用できます。
しかし、発電量は天候に左右され、夜間には発電できません。安定して電力を得るには、蓄電池の併用が有用です。蓄電池を設置することで、昼間に発電した電力をためて夜間や悪天候時に利用でき、買電量を抑えることが可能になります。
太陽光発電を導入する際は、発電量や設置環境を考慮し、蓄電池との併用を含めた長期的な運用計画を立てることが大切といえるでしょう。
ジャパンライフアシストでは住宅での太陽光発電や蓄電池の導入をサポートしています。太陽光発電・蓄電池の購入を検討している方は、ジャパンライフアシストにご依頼ください。まずは資料請求・お見積もりから!