太陽光発電と蓄電池を設置するメリット、デメリット!仕組みや価格相場を解説

太陽光発電は環境に優しく、節電効果も期待できるエコな発電方法です。家庭でも活用できる点は魅力ですが、夜間や悪天候時は発電できないという課題があります。そこで役立つのが「家庭用蓄電池」です。
蓄電池を組み合わせることで発電した電気をためておけるため、太陽光発電をより効率的に活用できるようになります。
しかし、「初期費用が高いのでは?」「どのような蓄電池を選べば良いのか?」と不安に感じる方も多いでしょう。
このコラムでは、太陽光発電と蓄電池の仕組みや関係性、導入のメリット・デメリットを詳しく解説します。価格相場や補助金情報、蓄電池選びで失敗しないためのポイントも紹介しますので、導入を検討中の方はぜひご覧ください。
太陽光発電と家庭用蓄電池の仕組み

まずは、一般的な家庭で利用される太陽光発電と蓄電池の仕組みを見ていきましょう。次の3点から、基礎的な知識を解説します。
- 太陽光発電とは
- 家庭用蓄電池とは
- 太陽光発電と蓄電池の関係・仕組み
太陽光発電とは
太陽光発電は、太陽光パネル(ソーラーパネル)に太陽の光を当てることで電気を作り出す発電システムです。発電時に二酸化炭素を排出しないため、環境にやさしい再生可能エネルギーとして注目されています。
一般家庭では、主に屋根に太陽光パネルを設置します。発電から家庭で電気を使用するまでの大まかなプロセスは次のとおりです。
- 太陽光パネルで発電
- 発電した電気を家庭用に変換する
- 電気を家庭内に分配
- 電気を使用する
太陽光パネルで生み出された電気は、パワーコンディショナーという設備を通して家庭で使用できるかたちに変換されます。自家消費しきれない余剰電力は、電力会社に売電することも可能です。
太陽光発電には、買電電気代の削減や売電収入を得られるといったメリットがあります。一方、太陽の出ている時間帯しか発電できない点はデメリットといえるでしょう
家庭用蓄電池とは
家庭用蓄電池とは、電気を蓄えられる二次電池(充電池)をさす言葉です。主に据え置き型の「定置式蓄電池」と、非常時や緊急時に持ち運びできる「移動式蓄電池」の2種類があります。
多くの家庭用蓄電池には、リチウムイオン電池が使用されています。これは、スマートフォンや電気自動車などにも採用されている高性能な電池で、従来の鉛蓄電池と比べ、エネルギー密度が高く、充電・放電の効率や寿命に優れているのが特徴です。
近年は小型化や軽量化が進み、家庭での導入しやすくなっています。電気を蓄えることで停電時の非常用電源として活用したり、自家用の電気自動車(EV)に充電したりすることも可能です。
太陽光発電システムと蓄電池の関係・仕組み

太陽光発電システムは、発電をする設備であり電気を蓄えることはできません。そのため、発電した電気をため、夜間や悪天候時にも使いたいという場合には蓄電池が必要になります。
蓄電した分、電力会社からの買電量を減らせるため、買電電気代の節約につながるでしょう。
蓄電池と太陽光発電を組み合わせた場合、電気は次のような流れで発電・消費されます。
- 太陽光パネルで発電
- 発電した電気を家庭用に変換
- 電気を家庭内に分配・消費 or 蓄電池にためる
- 必要なときに蓄電池から電気を供給
蓄電池を導入することで、余剰電力を売電するだけでなく、自家消費するという選択肢が増えます。より効率的に電力を活用できるようになるでしょう。
家庭用蓄電池を設置する4つのメリット

太陽光発電にあわせて家庭用蓄電池を設置することで、次のようなメリットが期待できます。
- 電気代が節約できる
- 地震などの災害時や停電時に備えられる
- 卒FITで売電単価が下がっても自家消費しやすい
- 太陽光発電とセットで利用することで、環境貢献につながる
それぞれのメリットの詳細について見ていきましょう。
メリット①電気代が節約できる
家庭用蓄電池を設置すると、発電した電気を効率的に活用できるため、買電電気代の節約につながるでしょう。
たとえば、蓄電池が無い場合、余剰電力は売電するしかありません。しかし、蓄電池があれば昼間に使いきれなかった電力を蓄え、夜間に使用できます。電力会社からの買電量を減らせるため、その分、買電電気代を抑えることが可能です。
また、深夜電力を活用できる点もメリットです。電力需要が少ない深夜や早朝は電気料金が安く設定されているため、その時間帯に充電し、昼間に使用することでさらに節約できます。時間帯別の電気料金プランを利用している方にとって、より効果的な節約手段となるでしょう。
メリット②地震などの災害時や停電時に備えられる
家庭用蓄電池は災害時や停電時の非常用電源として活用できるため、万が一の備えにも有効です。
異常気象や地震による停電リスクを考慮すると、電力供給の安定性を高められる蓄電池の重要性は高いといえるでしょう。
蓄電池には、家全体に電気を供給できる「全負荷型」と、あらかじめ指定した部屋や家電のみに供給する「特定負荷型」の2種類があります。
全負荷型は、停電時でも通常と変わらず家全体で電気が使えますが、設置費用は比較的高めです。特定負荷型は、冷蔵庫や照明など必要最低限の電化製品にのみ電力を供給するタイプで、設置費用を抑えやすい傾向にあります。
在宅避難にも便利
災害時、自宅の安全が確保できる場合、避難所ではなく自宅で過ごす「在宅避難」が推奨されることがあります。「在宅避難」は、プライバシーが守られ、避難途中の安全も確保できることから、災害時はできればわが家で過ごしたい、ほとんどの方がそう願うのではないでしょうか。
その際、蓄電池があれば電気を確保でき、快適な生活を維持しやすくなります。
メリット③卒FITで売電単価が下がっても自家消費しやすい
太陽光発電の余剰電力は、設置から10年間は固定価格買取制度(FIT制度)が適用されるため、一定の価格で電力会社に買い取ってもらえます。
しかし、卒FIT(買取期間終了)後は売電価格が大幅に下がるため、それまでのような売電収入は期待できなくなります。
卒FIT以後は、発電した電気を売るよりも、自家消費分を増やして買電を減らした方が経済的メリットが大きいといえるでしょう。そのため、自家消費を増やせる蓄電池は、効率的に電力を活用したり買電電気代を減らしたりする手段として有用性が高いといえます。
メリット④太陽光発電とセットで利用することで、環境貢献につながる
蓄電池があれば、電力の自給自足がしやすくなります。また、電力会社からの買電量が減ることで、火力発電に依存する割合が減り、二酸化炭素(CO₂)の排出削減にも貢献できます。
このような取り組みは、持続可能な社会の実現に向けた一歩としても注目されています。
家庭用蓄電池を設置するデメリット

家庭用蓄電池を設置することには多くのメリットがありますが、同時に次のようなデメリットも意識しておくことが大切です。
- 設置するスペースが必要
- 蓄電池の寿命がある
- 初期費用が高くなる可能性
設置するスペースが必要
家庭用蓄電池を導入する際は、設置スペースを確保する必要があります。特に、太陽光発電と併用する場合、屋根のソーラーパネルに加えて蓄電池本体を置く場所も必要なため、狭い住宅では悩みどころかもしれません。
もっとも、近年では蓄電池に使用するリチウムイオン電池の小型化が進み、従来よりもコンパクトなモデルが増えています。自宅のスペースと蓄電池の大きさを踏まえ、適切なモデルを選びましょう。
蓄電池の寿命がある
家庭用蓄電池は、長期間使用するうちに蓄電容量が徐々に減少します。スマートフォンのバッテリーと同じく、充放電を繰り返すことで経年劣化が進むためです。
一般的に、リチウムイオン電池を使用した家庭用蓄電池の寿命は約10~15年とされています。ただし、実際の寿命は充放電の回数によって変わるため、使用頻度や運用方法によっては早めの交換が必要になる可能性もあります。
蓄電池を導入する際は、保証期間や交換費用についても確認し、長期的なコストを見据えて選ぶことが大切です。
初期費用が高くなる可能性
太陽光発電と蓄電池を同時に導入する場合、初期費用が高額になる可能性があります。太陽光発電システム単体、または蓄電池単体の導入と比べると、機器代や工事費が増えるため負担が大きくなりがちです。
しかし、太陽光発電と蓄電池をセットで導入することで、施工費用を抑えられるケースもあります。別々に設置するとそれぞれに工事費がかかり、結果的に割高になることもあるため、長期的な視点でコストを比較することが重要です。
また、補助金制度を活用すれば自己負担を軽減できる可能性があります。制度の内容等は変わるため、活用する際は最新情報をチェックしましょう。
太陽光発電と蓄電池の設置費用・価格相場

太陽光発電と蓄電池の導入には大きなコストがかかりますが、買電電気代の節約や万一の備えとして生活の大きな助けになります。
ここでは、太陽光発電の設置費用相場と価格相場、また初期費用を抑えるための補助金制度について解説します。
太陽光発電の設置費用相場
太陽光発電の導入費用は、1kWあたり約25.5万円が目安とされています。一般家庭で設置される太陽光発電システムの容量は4kW~6kW程度が一般的なため、導入費用の相場はおよそ100万~150万円程度となるでしょう。
ただし、実際の費用は、太陽光パネルの種類やメーカー、設置場所の条件や工事内容によって変動します。適正価格で購入するためには、設置費用の相場を把握し、複数の業者の見積もりを比較することが大切です。
参考元:経済産業省『令和6年度以降の調達価格等に関する意見』
家庭用蓄電池の設置費用相場
家庭用蓄電池の設置費用は、太陽光発電とセットで導入する場合、一般的に100万~200万円程度が相場とされています。太陽光発電と蓄電池を別々に設置するとそれぞれに施工費がかかりますが、同時に導入すれば工事費を抑えられるのです。
また、施工業者やメーカーによってはセット割引の適用が受けられる可能性があるため、事前に確認しておきましょう。
初期費用を抑えるために補助金を利用する
家庭用蓄電池の導入には、国や地方自治体の補助金制度を活用できる場合があります。
2025年2月現在では「令和5年度補正 家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業」が国の補助金として提供されています。
2024年度には他に「DER補助金」や「子育てエコホーム支援事業」が実施されていましたが、現在は提供されていません。また、国ではなく地方自治体が独自に補助金制度を実施しているケースも多いです。
このように、補助金の種類や実施の有無、内容は変更されることがあるため、活用を検討する際は最新情報をチェックしておきましょう。
ジャパンライフアシストでは補助金の申請代行もおこなっています。太陽光発電や家庭用蓄電池の導入を検討している方は、ぜひご相談ください。
参考元:一般社団法人 環境共創イニシアチブ「令和5年度補正 家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業」
太陽光発電と蓄電池をセットで導入するときの注意点

太陽光発電と蓄電池をセットで導入する際には、次の点に注意しておきましょう。
- 太陽光発電のパワーコンディショナーを交換するかで型を決める
- 寿命・保証内容を確認!長持ちする蓄電池を選ぶ
- 太陽光発電の出力にあった蓄電池を選ぶ
太陽光発電のパワーコンディショナーを交換するかで型を決める
蓄電池を選ぶ際は、太陽光発電のパワーコンディショナーとの相性を考慮することが重要です。パワーコンディショナーとは、太陽光発電で作った電気や蓄電池にためた直流(DC)電気を、家庭で使える交流(AC)電気に変換する機器です。
蓄電池には、ハイブリッド型と単機能型の2つのタイプがあり、どちらを選ぶかによってパワーコンディショナーの交換が必要になるかが変わります。
ハイブリッド型の蓄電池
ハイブリッド型は太陽光発電と蓄電池を1台のパワーコンディショナーで制御できるタイプです。変換ロスが少なく、電力効率が良い点がメリットとなります。ただし、単機能型より高価な傾向にあります。
新しく太陽光発電と蓄電池を導入する方や、卒FITを迎え、パワーコンディショナーの交換時期が近い方に向いているでしょう。
単機能型の蓄電池
単機能型は、既存の太陽光発電用パワーコンディショナーをそのまま使用し、そこに蓄電池専用のパワーコンディショナーを追加するタイプです。
パワーコンディショナーを交換する必要がないため、ハイブリッド型より安価なことが多く、機能がシンプルな分、電池の容量が多い傾向にあります。
ただし、蓄電池専用のパワーコンディショナーを設置する分、新たな設置スペースが必要です。
既に太陽光発電を導入している方で、既存のパワーコンディショナーを使い続けられる場合に適した選択肢となります。
寿命・保証内容を確認!長持ちする蓄電池を選ぶ
家庭用蓄電池は長期間使用する設備です。コストの面から、寿命や保証内容をよく比較・確認して選ぶことが大切です。
蓄電池の寿命は、充放電サイクル数で表すことができます。1サイクルは、100%まで充電しその電気を使い切るまでです。たとえば、11,000回のサイクル寿命を持つ蓄電池なら、1日1回の充放電で、約30年使用できる計算です。
また、蓄電池の多くにはメーカー保証がついており、蓄電容量の維持保証や、万が一の故障に対する修理対応が含まれるものもあります。保証期間や保証内容を確認し、長く安心して使える製品を選びましょう。
太陽光発電の出力にあった蓄電池を選ぶ
初期費用を抑えながら電気を効率よく活用するためには、太陽光発電の出力や家庭の電気使用量に合った容量の蓄電池を選ぶこともポイントです。
適切な蓄電池容量を選ぶために、まずは、過去1年間の電気使用量を電力会社の明細で確認しましょう。必要な容量の目安は「深夜を除く朝晩と昼間の使用量÷日数」で把握できます。この数値をもとに、自家消費を最大化できる容量を選ぶと、無駄なく電気を活用できます。
まとめ

太陽光発電と家庭用蓄電池を組み合わせると、買電電気代の節約や非常用電源の確保、卒FIT後の自家消費の拡大などのメリットが得られます。
一方で、蓄電池の設置スペースの確保や初期費用がかかるといったデメリット面も考慮することが大切です。設置費用も決して安くはないため、価格相場を把握し、また補助金制度を活用しながら、無理のない導入計画を立てましょう。
ジャパンライフアシストでは住宅での太陽光発電や蓄電池の導入サポートをしています。太陽光発電・蓄電池の購入を検討している方は、ぜひお気軽にお問合せください。